
2016年11月に執筆しました。
アメリカで子育てをしていた時に見た海外のしつけ、その極め付けはイギリス人家族のものだった。言葉遣いに始まり、食事の仕方、友達との遊び方、スポーツの仕方にまで親のチェックが入っていた。
イギリス人は、自分の子供がアメリカ英語を話すことをよしとしない。例えば、アメリカ英語ならば話し相手に聞き返す時に ”What” を良く使うが、イギリス人の親は ”Pardon?” を使うようにと注意する。”OK” も ”YES” ではなく ”all right” である。また、初対面の人に自己紹介する時も必ず「目を見て話せ」とか、「真っすぐに立て」とか、口うるさいほどである。食事についても、フォークやナイフの使い方はもちろん、「口の中にものがある時は話さない」、しかし、それ以外は「黙って食べないで会話をする」などマナー教室以上である。
友達との遊び方に関しては Honest, Fair, Healthy, Polite, Friendly and Wise が基本になっているとイギリス人の友人が言っていた。特に嘘は絶対にだめで、これがStealing(盗み)やCheating(騙す)につながると教える。Fair は社会のルールを守ることを基本に、幼いころから遊びの中での Fair play を鍛えられる。Polite は言葉の部分で教えられる。例えば I wanna ではなくて I want to、I gonna ではなくて I am going to と言いなさい。日本語なら「欲しいよ。」ではなく「欲しいです。」、「行くよ。」ではなく「行きます。」となる。また Wise とは自分のことは自分で、ということらしい。親を見ながら、どうしたら日常のこと(例えば洋服の着替えや、片付け)ができるか、それを考える力が Wise を育てるという。
もちろんイギリス人家庭でのしつけがベストではないが、彼らの子育てを見て感じたのはプリンシパル、つまりしつけの柱になるものがある、ということだった。イギリス人は日本人より国を思う気持ちが強く、「子供達をしっかりと育てないと国は滅びる」という意識が、発達しているようにも感じる。
ILHのしつけは日本のものを基本としているが、イギリス人にみるしつけの本質を学んでいくべきだ、と考えている。
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)
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