ボブもバスケットを楽しんでいます@インターナショナル・ランゲージ・ハウス

前回はこちらから

外国人講師の安定供給、これは派遣事業に付きまとう問題である。特に技術を持った講師や教育事業に従事した経験のある講師を雇用していくのは大変である。ONBAの講師はバスケができるではなく、教えられるという条件での人探しだったので、なおさらだった。まずは根岸、横須賀ベースにあるバスケチームを尋ねた。根岸には規模の小さいチームがあり、ONBAもトーナメントに参加していた。チームメンバーはそれぞれが職を持っていたが、週末なら教えられるという。しかし、学童に必要な人材は「平日に稼働できる先生」。となると手を挙げるものはいなかった。

そんな時、テキサスから一人の男がやってきた。以前にも登場したダニーの親友である。Jacob Varugheseという名の男は、黒人、ポルトガル人、ポーランド人など、数カ国を祖先に持つ顔だった。イカツイ面構えであまり笑わないから、子供たちには怖いお兄さんのイメージであった。中には泣き出す子供もいて、本人も困惑していた。しかし、バスケはダニーより上手く、子供たちへの接し方も自然でくったくがなかった。我が家のアメリカ人留学生Dillon Nakataも大のバスケ好きで仕事を手伝いたいと言ってきた。二人ともFacebookでは今でも繋がっていて、日本の子供たちの良さを語ってくれる。Jacobは既に一児のパパとなり、子供には日本語を習わせたいという。バスケが繋げてくれた国際ネットワークである。

人材が揃い始めた一方で別の課題が持ち上がった。バスケ講師の午前中の仕事である。学童や地区センターが稼働するのは午後、午前に講師を必要とするのは保育園、幼稚園。当時ILHは保育園の派遣事業を始めていたが、最初のクライアントは私の弟が理事の保育園だった。ちょうど保育園事業の社会現象が起き始めた頃で、同園は3年間で6園を立ち上げることになる。これがILHの派遣事業の牽引力となっていった。

No.11へつづく

黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)

※数年前のILH Connectionのコーナーの一つとして寄稿された文章になります。

Archives

Categories