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全くイギリス人らしい考え方なのだが、夏休みのある日、時間を決めて家族全員でダラダラする。場所は自分の家なのでお金はかからない。パパが会社を休むかは仕事次第強制はしない。このイギリス人家庭では新聞記者であるパパも会社を休んでダラダラdayに参加した。偶然にも私はそのダラダラデイに遭遇した。午前11時、ママはジャージ姿でソファーに腰掛けコーヒータイム、パパはローリングストーンズを聴きながらアルバムの整理、4人の子供たちもそれぞれに好きなことをしている。部屋の中は散らかり放題でも楽しそうな家族の雰囲気が満ちていた。ランチ作りもそれぞれが好きなものを作っていいことになっていて、子供たちはパンケーキを作り始めたが、ママは私とのおしゃべりを止めるでもなく手伝ったりはしない。パパはイギリス人の好物チェダーチーズとエールビール、そのうちゴロリとカウチに横になりヘッドホーンをつけると昼寝を始めた。子供たちはかなりの勢いでキッチンを汚していたが、ママは我関せず、これからシャワーを浴びるからちょっと待っていてねと席を立った。これが日本だったらどうだろう。まず友達が来ると言って部屋の片付け、子供同士で遊ぶというとそれなりのセッティング、ランチ付きであればママが奮闘して何か作る、ましてパパがお休みで家にいるとなると、悪いけどこれからママ友が来るから自分の部屋にいてくれる?なんてお願いすることになる。つまり人前でダラダラすることはちょっと恥ずかしいことと考える人がほとんどなのではないかと思う。ダラダラデイは、その日に人配達人が来ようが、友達が来ようが、そんなものに左右されず、また家族からも指示を受けない。やりたいように自分で一日を作る。お金はほとんどかからない。夏休み後半の一日、こんな日を作ってはどうだろうか。

黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)

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