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さて、派遣事業が増えてくると、それを管理する事務所機能が必要となる。7件程までは私一人で帳簿をつけ、外国人の給与計算をし、スケジュール管理など全てを一人で切り盛りしていたが、ある時請求書の額の0を一つ多く書いてしまい、クライアントに怒られたことから、人材の必要性を感じた。この人材採用がまたILHらしいのだが。

最初の雇用は英語リトミックに参加してくれていたママの一人だった。ワンコインクラスを初めて6ヶ月ぐらい経ったころから参加者が増え始めた。予約もなく自由参加で、¥500という気軽さと、ILHのどこか外国チックな環境、そしてクラスが終わった後のコーヒータイムが、ママたちにとって束の間の自分時間になったのだと思う。反面、参加者が増えると、簡単な小遣い帳でのお金の管理や、同時進行していた外国人派遣のスケジューリングやクライアントへの請求書作成など、元来お金の扱いが不得意な私にとって大きな負担となっていった。

そんなある日、玄関の入り口で参加者をテキパキと誘導し、料金を集めているママがいた。彼女も当時1歳半の女の子を連れての参加だった。クラス終了後のコーヒーを作るのは私の役目だったが、「黒部さん、15人分お願いします。」と指示を出してくれた。なんと気の利くママなのかと思った瞬間「ILHで働きませんか。」と声をかけていた。

まずは週2回からお願いした。当時ワンコインは毎日開催していたが、特に参加者が多い日に手伝ってもらうことにした。お弁当持ちで自分の子供の面倒を見ながら、本当に大変だったと思う。

それも自然食で育てるという。野菜は一から手作り、お米は玄米、スイートは自然甘味料のみという条件を自分に課していた。そんな自然派ママはもう一つの大きな功績をILHに残してくれた。それは、NPO設立のための定款作りだった。

その頃、外国人との英語でバスケの活動が軌道に乗り、組織化したいと考えていた。ただ自分で定款や規約を作るのは時間の無駄であり、自分の能力をはるかに超えていることだと思っていた矢先、彼女が「大阪に行政書士の知り合いがいるので、やってもらいましょう!」と言ってくれた。私は税理士、社労士、弁護士など、士の字のつく人の料金は高い!という概念があったので、最初から「お金はないです!」と言ったのだが、なんと¥3,000でやってくれるという。ゼロが一つ抜けたのではないかと思った。所要時間1週間、¥3,000でNPOは設立した。凄い!の一言だった。

つづく

黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)

※数年前のILH Connectionのコーナーの一つとして寄稿された文章になります。

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