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綱島にある横浜市立高田小学校の校長先生は、私が今まで出会った校長先生の中で一番美しい女性だった。洋服のセンスも、醸し出されるオーラも個性的で凛としていた。単刀直入に「体育の授業に英語を導入させて頂くことは可能ですか?」と聞くと、答えは「はい」だった。ただ文科省の指導要領に沿わなくてはいけないので、横浜市の英語モデル校として期間限定導入だった。
4ヶ月間、高学年を対象にバスケのプログラムを英語で行う、というもので、二人の外国人講師を派遣した。ある一定期間に英語を導入できることは、貴重なデータとなり、神奈川新聞、テレビ神奈川などのメディアも「英語de バスケ」を取り上げてくれた。しかし、課題もあった。一番の課題はバスケのゲームが白熱してくると、子供たちの頭から英語が完全に消えてしまうことだった。ドリブルやシュートの練習では外国人講師の英語をリピートできるのだが、勝負となると英語は二の次となる。プログラムは、次の通り。
準備体操:「体の部分を表す単語」を学習。
Warm up:習った「体の部分を表す単語」をリピートしながらジョギング。
テーブルスタディ:バスケのルールや基本スキルを図説で学ぶ。
基本トレーニング:グループごとにドリブルやシュートの練習。“Please teach me how to jump high.”、“Pass me a ball.”、“It is my turn.”などのセンテンスを取り入れながらの練習。外国人交流をしながらの日常英会話やゲーム。
これは、中身の濃さを実証するプログラムであり、口コミで広がっていった。おかげで個人グループの「英語deバスケ」の引き合いが多くなったが、外国人講師の供給が大課題として残った。
No.10 へつづく
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)
※数年前のILH Connectionのコーナーの一つとして寄稿された文章になります。