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保育園に外国人を派遣するようになって分かったのは、何が外国人にできて日本人にできないかということだった。(そしてその逆もある。) 5人の子供たちを外国で育てたせいかもしれないが、一番感じたのは顔の表現力の違いだった。日本人の子供たちの表情が平らなのだ。これは子供に限らず大人にも言えることだと思う。
会社勤めをしているとき、外国人相手の大変な会議に何度も遭遇した。話が過熱してくると表現力が武器になることがあるが、逆に黙って無表情だと相手を怒らせ成立するものも成立しない場合もある。日本人が何を考えているかわからないと言われる所以である。
もう一つ外国人が得意なことに、楽しい雰囲気を即興の想像力で作れることがある。日本人にもおなじみの「ダルマさんが転んだ」(海外ではRed light, Blue lightという)では、コンセプトは同じなのだが色が入ったり、信号機の音が入ったり、その動きが入ったりすることでゲームそのものが立体化して楽しくなる。クラフトも色や形のバラエティーが豊かで楽しいし、アイディアも豊富である。
私は派遣先の園を見学させてもらいながら、システムが素晴らしい日本の保育園に、外国人の特性を生かしたオリジナルプログラムを取り入れ得ることができれば、いままでとは違った楽しく想像力に満ちた保育園ができるかもしれないと考えた。またその中で使う音楽、英語教育の入れ込みなど、今までの子育てを振り返りながら、日本人の子供たちがまだ知らない世界感を教えたいと思った。
No.3へつづく
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)
※数年前のILH Connectionのコーナーの一つとして寄稿された文章になります。