ボブもバスケットを楽しんでいます@インターナショナル・ランゲージ・ハウス

英語deバスケを学童に導入するのはそんなに簡単ではなかった。いつもそうだが、アイディアが寝ても覚めても湧いてきて、実行したくてたまらなくなる。これも、もとはといえば横浜の街に野外コートを作り、英語が自然に聞こえてくるような環境にしたかった。それが学童という環境で子供達のためになるプログラムができそうだ、と思うとじっとしていられなかった。教育委員会に知人がいるわけでもないので「政治家に頼むしかない」と思い、篠原地区選出の市会議員に連絡を取った。普段、政治家のビラには興味がないのだが、妙蓮寺の駅前でたまたま受け取ったビラを乗った電車で暇に任せて読んでいたところ、思いの外まともなことを言っていたので、連絡をして面会を申し込んだ。大阪出身なのに横浜に惚れ込み、住民のための御用聞きになりたいと言っている。その淡々とした態度にも好感があり、その後選挙の応援をしながら、おつきあいを続けた。

まず紹介して頂いたのは、教育委員会の中にあるスポーツ振興委員会で、部活部屋のようなオフィスに、元体育会系と思われる職員が沢山いた。ただ、「英語」という言葉が出てくると、バスケの話を熱心に聞いてくれていた職員たちが、皆1センチほど後ろに引くのだった。「私たちは英語のことはわかりませんが、」とも前置きして、当時横浜市が取り組み始めたばかりだった「キッズクラブ」という組織を紹介してくれた。子供達の遊び場と生活の場を提供する放課後施設として設立され、各プログラムに保護者が料金を払う。参加費は午後5時まで無料、それ以降は5万円/月。現在横浜市には47施設あり、開設に関しては、校長に決定権が委ねられている。

私がこの組織を知った頃は、まだ8団体ほどで、一度主任ミーティングというものに呼ばれたが、元PTA会長らしい強面のおばちゃんばかりだった。南瀬谷小学校の主任など、登録児童が400名いて、ほぼ全員が校舎を使った一泊のサマーキャンプに参加するのだという。腕にはお守りの数珠がインド人のように巻かれ、声も態度も非常に迫力ある女性だった。そんなおばちゃんたちへの営業トークが通じたのか、3校が英語deバスケの導入を受け入れてくれた。ただ3校とも横浜から遠く、外国人を道に迷わせることなく、いかに現地までたどりつかせるか、が大きな問題であった。

黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)

※数年前のILH Connectionのコーナーの一つとして寄稿された文章になります。

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