
2019年10月に執筆しました
日本はかなりのラグビーブームに沸いているが、子供がラグビー教室に通っているという話はあまり聞かない。英語リトミッククラスのママたちからは乳幼児を抱きながら「この子将来ラグビーやらせたい!」という声は聞こえてくるので、サッカー場がラグビークラスに乗っ取られる日が来るかもしれない。
それでもスポーツの習い事ではサッカーが根強い人気を保っている。なぜか?
私もニューヨークで長女を無理やりサッカーチームに入れた。元来運動が嫌いでかけっこも遅い。週末になると家の中で本を読んだり絵を書いたりしている。親としてはなんとか友達の輪の中で活発に遊んで欲しいと思ってサッカーフィールドに送り出すのだが、見に行くとコートの真ん中でフリーズ状態になったりしている。全く楽しくないといった状態だった。しかし今になって考えると、あれは親である自分の気持ちや望みを優先したもので、長女の気持ちなどは考えてもいなかったと反省している。逆に次男はあっと気がつくと家にはいない。外でボール蹴りをしているか、友達の家に入り浸りである。勉強は嫌いで本も読まない。奇跡的にというか運良くというかマイノリティー枠でニューヨークでもトップクラスの男子校に入学したのに、勉強が追いつかず落第寸前であった。その時担任からover expectationは子供をダメにすると言われた。これも次男の能力キャパシティーを無視した親の勝手である。日本に帰国してすぐ運動会があり、まだ学校で決められた靴も買っていなかったので裸足で走り一番ゴール、その時の嬉しそうな顔は今でも忘れない。今子育て真最中の皆さんが、習い事やスポーツで一喜一憂する親の気持ちは私にも良く理解できる。親なら当然そういった気持ちになるものである。一つ言えるのはその度合いが過ぎると全てはストレスとなり自分に降りかかって来ることは間違いない。特にスポーツの習い事は身体で覚えるものである。これには個人差もあり、いくら頑張っても成果が出ないという現実は避けられない。最悪塾でも成果が出ない、スポーツ教室でもとなると子供の精神的発育にも影響する。であればスポーツ教室は軽いエクササイズぐらいに考えるのがいい。間違ってもオリンピックを目指したいなどとは思わないことである。もし思いたかったら自分の気持ちを子供に伝え納得してもらう、これが親と子のルールでもある。子供から「ママ大丈夫?」と言われそうだが。
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)