
2018年10月に執筆しました。
現役で子育てをしている方々の中で、悩みゼロの人はまずいないと思うのだが、日本のような保育園が確立していないアメリカでは、子供の預け場所が見つからないというのは非常に大きな悩みとなる。
アメリカで未就園児の子供を預ける場所といえばベビーシッターか託児保育。
しかし両方ともべらぼうに料金が高い。5人の子供たちが幼かった頃、私の生活の70%が主婦だった。残りの30%を物書きの時間に当てていた。数年後に本物のジャーナリストになるのだが、まだ長女が生まれて間もない頃は自己満足での執筆なのでギャラも雀の涙ほど、しかし一度ベイビーとの分離時間を味わうと、自分の時間がもてる快感が癖になった、なんというか麻薬みたいなもので3日ぐらいは大丈夫だが4日目になると無性に自分の時間が欲しくなる禁断症状がでる。
そこで探したのが保育おばあちゃん。1時間$8で朝8:00から夜8:00まで預けられる。ただ保育室はおばあちゃんのキッチンなので生活感丸見えでお世辞にも綺麗とはいえない施設だった。しかし考えてみると子供たちはそのおばあちゃんに大変お世話になったばかりではなく、ベイビーとしての一般常識を教えてもらったと思っている。簡単にいえばsharing, giving, loving の実践である。お友達とは必ずシェアーをする、持っていない子には与える、お友達を心から大切にするというようなことだが、おばあちゃんはこれを徹底的に躾ける。
後編につづく
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)
このエッセイはアーカイブとして公開しています。この他の黑部のエッセイ・アーカイブをご覧になりたい方は、カテゴリー「ILH History」をご覧ください。