
※2018年に執筆しました。
<ニューヨーク>
ズバリ教育熱心な父親が多い。働く親が多い社会ではPTAミーティングも夜に行うことが多い。仕事帰りに夫婦揃ってミーティングに参加する。父親と学校との質疑応答は熱く、納得のいくまで議論する。特に印象的なのが「教育費」に関する質問。例えば世界中から宗教や文化の違った人々が一つの学校に集まると、何々教の祭日だから学校はお休みというわけにはいかない、だがなぜかユダヤ教のお正月(Jewish new year)になるとほとんどの学校が休校になる。そこで他宗教の父親達が団結して、それはおかしいと弁護士同伴でやってくる父親がいる。徹底的に問題を解決してやるという姿勢である。これは究極の一例だが、父親たちは教育の問題に対して強靭なネゴシエーターである。
<ロンドン>
私の知る限り、こと教育に関しては母親が梶を握っているように見受ける。以前ロンドンの学校を見学した際も、母親が自由参観をしている。おまけに参観中に教師を差し置いて突然質問したりする。やる気のない教師をリコールするなどは朝飯前である。父親はそんな母親達を静観しているというのが一般的かもしれない。しかしここでも学費などお金に関わることには父親が存在感を示す。
<デリー>
親は子供に対して絶対的な存在である。特に父親の存在は大きい。父親が承諾しなければ子供は学校に行けないし、成績を気にするのも母親以上である。ムンバイのような大都市は母親の存在が大きくなっているが、地方都市では父親絶対は根強い。子供からの相談は母親が受け父親が決断を下すというのが一般的で特に教育に関しては父親の権限は絶大である。
つづく
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)
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