
2018年に執筆しました
ママの声が届くことの大切さ。英語リトミックのクラスでいつもママ達にお願いすることがある。“repeat after me”である。リトミックでは英語の曲を分かる範囲でいいので一緒に口ずさむことをお願いする。何故なら1〜2歳児の耳にはママの声がダントツに早く届く。曲の中の歌声は軽く認識するが、私の声など雑音程度の認識しかない。
ママが声を出すたびにベイビーたちの言語がより育まれるということである。
面白いのはそのリピートが英語ではなく日本語の場合もある。例えば“This is red”というと、「ほら、赤だってさ」と訳してくれるママ。黙っているよりはよっぽどいいので思わず微笑んでしまう。
最近 黒川伊保子『日本語はなぜ美しいのか』 と 鳥飼玖美子『英語教育の危機』 という本を読んだ。どちらも英語教育の危機と、現在の英語教育を憂いた見解を述べている。特に黒川さんは手厳しい。「日本人がその風土で培われなかった言語を使うようになるのは危険である。」とした上で、日本人の外国語教育の開始適正年齢は12歳、ただクリエイティブな職(事業家も含む)につきたければ8歳頃からが望ましいとしている。黒川さんご自身がAI開発に関わる言語学者であるので、脳の発育を科学的に捉えての意見なのだとも思う。曰く、脳は3歳までに母親との密接な関係により言語構造の基盤を作り上げるとし、3歳までは母親たるもの赤ちゃんに喋りまくれと言っている。
後編へつづく
黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)
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