
※2022年に執筆されました。
昨年12月にニューヨークを訪問した時に、保育や教育現場にどのくらいデジタル環境が導入されているかを見たいと思った。時はコロナの真っ只中だったが、ZOOMを通して視察をするのもデジタル環境を見るよい機会になると思った。まず感じたのはAIの普及である。例えば日本でもおなじみの” Hey Google” は保育現場ではすでに活用されていて、保育士が”Hey Google, play The Wheels on the bus”をいうと音楽が自動的に流れ、”Hey Google, play animal song for kids”というとAIが選択した音楽が始まる。日本では未だにラジカセを使用している保育現場を考えるとその環境の格差は大きくなるばかりである。公立学校でも教室にONLINE CLASSのようなデジタルコンテンツが配信された時に見やすくするスクリーンモニターが設置されている。また算数の授業ではモニターが教師のPCと接続されAlgebra(代数)の方程式などがわかりやすく時系列で表示されていく。ほとんどの私立小学校では児童たちにiPadを持たせている。面白いのはその使い方は本人が勉強しやすいようにMY BOOK=iPadのような仕様をさせている。したがって勉強に必要な教科書やマテリアルもデジタルで配信されることが多いので、昔のように厚い教科書を持ち歩くということも少なくなっている。図書館の利用もほとんどがデジタルで可能となっている。コロナで図書館を利用できないという現実も手伝ってか、図書館そのものがすでに過去のものになる現実を感じた。
ところで日本の現状はどうなのかというと、明らかにデジタル低開発国という現実が確実になっている。最近ランゲージ・ハウスが直面した現実を話したい。昨年のコロナ緊急警戒が発令された直後、外国人講師を派遣していた多くの保育園先から、自粛のために当面外国人を園に入れることはできないとの連絡が相次いだ。8割以上のクライアント園が、一時的にせよ長期にわたってクローズしてしまうと会社の存続そのものに関わる。そこでON LINEクラスの提案をしたのだが、この8割のうち6割の園からパソコンが一台しかないと言われ驚いた。
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黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)