【前編】幼児の英語教育を再考する。の続きです。

さて、こんなことを書いてどう幼児英語と結びつくかであるが、理由は何のために幼児期から英語を始めるのかということを考えるためである。ランゲージ・ハウスが考える幼児英語学習の目的は「自分力」であることは周知のとおりであるが、具体的には将来、日本語と英語、そして願わくはもう一つの言語を日常会話として話せる力があればこれからの社会を生きていくに困らないということである。AIが発達しても、話す能力、聞く能力、それも多言語を理解できる能力は今後ますます重要になってくる。今年のように予期しないことが起こっても日本語だけの情報に埋もれることなく、英語での情報を集め理解する力があれば生き残る可能性は高くなる。しかしただ英語を学習するだけではダメで、多義にわたる生活の中から自分なりに英語のニュアンスを理解し、ケースバイケースで問題を解決する力が必要である。これは高校や大学から英語を初めてもダメで、幼い頃からの生活環境、学習環境がモノを言う。ただし幼児期から始めた英語をどんなに短くても中学までは続けることが条件である。それもどんな環境下でも毎日継続することも条件となる。こんなことを書くと絶対無理とか言われそうだが、無理か無理でないかを決めるのは保護者の考え方次第である。

保護者も時代とともに変わらなければならない。もっと子供の将来を見越した投資を考えていくことが重要になる。なぜなら「先を読めない社会」がこれから起こる。その社会に対応できるのは多様性と柔軟性、それをサポートする人間力と語学力である。ニューヨークの失業者の中にはIT関連の仕事をしていた若者が多いと聞いた。ここ数年大学卒業者は猫も杓子も給料のいいIT企業を目指していた。しかし結果として競争力が以上なほどに膨らみ、1つ2つのシステムをこなしても仕事には有り付けない。かといってIT以外には何もできないので転職が効かない。おまけに彼らには大学時代に作ってしまった学費の債務が重くのしかかる。柔軟性のない人間の弱さを垣間見る気がした。

この冬富士山に雪景色がない。雪は高速道路を完全にストップさせてしまうほどに降っているのに、富士山は白くない。一説には富士山の表面がマグマの熱で高くなり、雪を溶かしてしまう現象が起こっているともいう。ある日突然日本を脱出しなくてはならなくなる日が来るかもしれない。生き残るのは世界のどこでも水や食べ物を手に入れるすべを知っている人間である。

2021年も混乱は続く。しかし明日からでもいい。子供の将来を設計してみよう。変わるべく社会に対応できるような計画を立ててみよう。将来子供がこの計画に従えなかったとしても、それは今考えなくていい。来る年を少しでもポジティブに生き抜くための計画から始めてもいい。自分の生活は自分で守る保護者の姿は必ず子供に伝わる。

黑部 美子(インターナショナル・ランゲージ・ハウス CEO)

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